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PM雑記帳

■PMアラカルト_No.8
  Q&A「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成」

2006.03.29

今回はPMBOKガイド第3版の統合マネジメント知識エリアにある「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成プロセス」 について、質問が寄せられましたので考察します。

質問:
「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成プロセス」がスコープ・マネジメント知識エリアではなく、 統合マネジメント知識エリアに置かれているのは何故ですか?

考察:
当プロセスは「立上げプロセス群」に属し、初期的なプロジェクト・スコープ記述書 (以下スコープ記述書と記す)であるスコープ記述書の暫定版を作成するプロセスです。 スコープ記述書の正式版は「スコープ定義プロセス」で作成しますが、このプロセスは「計画プロセス群」 に属し、スコープ・マネジメント知識エリアに置かれています。
ご質問は、スコープ記述書の初期的なものを作成するプロセスと、その内容の詳細化を行う プロセスとが異なる知識エリアに置かれているのは何故か?前者は何故そのプロセス名称から 類推されるスコープ・マネジメント知識エリアではないのか?というものだと思います。

考察は二つの観点から行います。一つは、統合マネジメントのプロセスが有する役割の観点、 他の一つは主要プロジェクト文書の作成の観点です。


第一の観点:
統合マネジメントの各プロセスに共通した役割とは、他の8つの知識エリアで定義されている 諸プロセスを統合することにあります。「立上げ」、「計画」、「実行」、「監視コントロール」、 「終結」という5つのプロセス群の入り口には必ず統合マネジメントのプロセスが置かれていますが、 これらのプロセスは所属しているプロセス群にある他のプロセスを制御・統合する、いわばコントロール・ タワーの役割を持っています。したがって、各プロセス群において、統合マネジメントのプロセスから 他の知識エリアのプロセスに出ている矢線は、プロセスの実行順序ではなく、コントロールの方向 を表しています。(PMアラカルトNo.2「PMBOK統合マネジメント考」参照)
ただし、「立上げプロセス群」ではやや様子が違っています。このプロセス群には2つのプロセス、 「プロジェクト憲章作成プロセス」と「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成プロセス」がありますが、 これらの定義内容から判断するに、前者が後者をコントロールする関係にはなく、両者は同じレベルに 位置付けられるものです。然るに、統合マネジメントのプロセスと同じレベルにスコープ・マネジメントの プロセスを位置付けてしまうと、先に挙げた統合マネジメントと他の8つの知識エリアとの関係スキームが 保てません。それ故に、「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成プロセス」は「プロジェクト憲章作成 プロセス」と同じ統合マネジメント知識エリアに置くことが適当とされたのではないでしょうか。
なお、PMBOKガイドに書かれている両者間の矢線は、この場合にはプロセスの順序関係を示していると考えられます。

Q&A「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成」


第二の観点:
PMBOKガイドでは3つの主要なプロジェクト文書として、「プロジェクト憲章」、 「プロジェクト・スコープ記述書」、「プロジェクトマネジメント計画書」を定義しています。 これらは、統合マネジメント以外の知識エリアで作成された関連文書類を束ねるかまたは 参照する形で作成され、プロジェクト文書類の最上位に置かれる文書です。PMBOKガイドでは 明示されていませんが、これら最上位の文書の作成・維持は統合マネジメントのプロセスが担うとしたと 筆者は推測しています。したがって、スコープ記述書の骨格を決めるのは統合マネジメントであって、 「プロジェクト・スコープ記述書暫定版作成プロセス」は統合マネジメントに置かれることになります。
なお、その内容の詳細化は、スコープ・マネジメント知識エリアの「スコープ定義プロセス」が、 計画プロセス群の適宜なプロセスと関係しながら行います。

以上がご質問に対する筆者の考察の結果です。たぶんに推測の域を出ないので「回答」というわけにはいきません。PMBOKガイド第3版ではこのあたりの説明が特に無いようですし、他の考え方もあるかもしれません。


(1)PMBOK(R) ガイド第3版 PMI
(2)PMBOK(R) Guide Third Edition PMI
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