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PM雑記帳

■PMアラカルト_No.5
  COBITによるPMプロセス定義

2006.02.01

昨今、ITプロジェクトを推進するにあたり、組織やプロセスの成熟度が問われる場合が多いようです。 成熟度を表すために、その対象によって幾つかのモデルが提案されています。 例えば、米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所で開発された有名な CMM(Capability Maturity Model)は、システム/ソフトウェア開発能力の成熟度を測るものです。
同様のものとしてISO15504:SPA (Software Process Assessment:ソフトウェア開発プロセスの成熟度を測るための国際標準)があります。 またマルコムボルドリッジ経営品質賞は経営品質の成熟度を測るものです。 いずれの成熟度モデルも、システムを組織内で開発する場合や外部に委託する場合の、 組織能力の継続的改善を図るために利用することができます。

このようなモデルの一つに、企業のITガバナンスの成熟度を測るモデルとして COBIT(Control OBjectives for Information and related Technology:情報技術コントロール目標)があります。 今回はCOBITで定義されている、特にプロジェクトマネジメント・プロセスの成熟度について 、その重要成功要因(CSF)、重要目標達成指標(KGI)及び重要業績達成指標(KPI)を紹介しましょう。
始めに、COBITの使命、目的及び全体像については、「PMBOKドリルダウン!No.37」で説明されていますので ご覧いただきたいのですが、ここではCOBITマネジメント・ガイドラインの構成と成熟度モデルのあらましを述べておきます。


COBITマネジメント・ガイドラインの構成

COBITはISACA(Information Systems Audit and Control Association: 米国情報システム内部統制財団)が定義したITプロセスとそれらの成熟度を測る成熟度モデルです。 そのマネジメント・ガイドラインは次の4つで構成されています。
  ・成熟度モデル(Maturity Models)
  ・重要成功要因(CSF: Critical Success Factors)
  ・重要目標達成指標(KGI: Key Goal Indicators)
  ・重要業績評価指標(KPI: Key Performance Indicators)

また、COBITでは以下の4つの領域に、合せて34のITプロセスを定めており、 各プロセスのアセスメントを通して企業のITガバナンスの状態が把握できるとされています。
  ・計画と組織(11プロセス)
  ・調達と導入(6プロセス)
  ・デリバリと支援(13プロセス)
  ・モニタリング(4プロセス)

COBITの成熟度モデル

COBITの成熟度モデルでは、各ITプロセスについてCMMに則りレベル0からレベル5までの6段階の成熟度を定義しています。 なお、レベル0はCMMでは定義が無くCOBITで加えられたレベルです。

レベル0(存在しない):
  認識可能なマネジメント・プロセスが全く無い。取り組むべき問題の存在さえ認識されていない。
レベル1(初期化された):
  プロセスは標準化・体系化されていない。個人的でその場しのぎのアプローチがなされる。
レベル2(反復できる):
  プロセスは実行する人に依存しない形で手順通りに実行される。
   しかし、標準的な手順への正規の訓練・周知はなく、 責任は個人に負わされたままである。
レベル3(定義された):
  プロセスは標準化・文書化され、訓練により周知されている。
   しかし、プロセスに携わるのは個人依存のままである。 実施結果の個人差はほとんど無い。
レベル4(管理された):
  プロセスは監視され、計測される。有効に機能しないプロセスには処置を施すことができる。
   プロセスは改良の下にあり良好な実行結果を示す。
レベル5(最適化されている):
  プロセスは継続的な改良によりベスト・プラクティスのレベルにまで洗練されている。
   ITは、ワークフローを自動化し 品質と有効性を改善して企業・組織の適応力を迅速にするツールとなっている。

さて、今回紹介するCOBITのプロジェクトマネジメント・プロセスは、「計画と組織」領域にある 11個のITプロセス定義の中の一つです。
このプロセスの目的は、「事業目標にしたがって優先順位を決め、納期と予算を守るよう プロジェクトをマネジメントする」ことです。 そこに定められている当プロセス特有のCSF、KGI、KPIを掲げます。「PMBOKドリルダウン!No.37」と合せてご覧ください。

CSF(重要成功要因)

・経験豊富で熟練したプロジェクト・リーダーが担当していること
・承認済みの標準プロジェクトマネジメント・プロセスが適切に実施されていること
・上級マネジメントがプロジェクトを支援すること、及び、プロジェクトの定義、実行、マネジメントにおいて、
  ステークホルダーとITスタッフの作業分担が図られること
・大規模・複雑なプロジェクトにおいては、組織と、IT機能の能力とその限界についての理解が得られていること
・組織横断的なプロジェクトについて、そのリスク・アセスメント方法が定義・実施されていること
・すべてのプロジェクトが、明確でトレース可能なWBS、適切で正確な見積り 、スキル要件、トレースすべき課題、
  品質計画、明瞭な変更プロセスを有すること
・立上げチームから運用チームへの移行が、良くマネジメントされたプロセスとなっていること
・システム開発のメソドロジーが組織として定義され使用されていること

KGI(重要目標達成指標)

・計画時間内、計画予算内で完了したプロジェクトの増加数
・正確なプロジェクト計画と予算
・共通的なプロジェクト問題の減少
・適時なプロジェクト・リスク認識の向上
・プロジェクト引渡し業務における組織満足度の向上
・プロジェクトマネジメントの適時性の向上

KPI(重要業績達成指標)

・定義された方法に則って引渡されたプロジェクトの増加数
・プロジェクト参加者の参加度合い
・チームメンバーあたりのプロジェクトマネジメント訓練日数
・プロジェクトのマイルストーンと予算のレビュー回数
・完了後レビューの実施済みプロジェクトの割合
・プロジェクト・リーダーの平均経験年数 次回もCOBITの成熟度モデルをトピックにします。特にCSF、KGI、KPIの関係について説明したいと思います。

参考文献:(1)ITC専門知識教材 情報化の成熟度 財団法人社会経済生産性本部
       (2)ITC専門知識教材 モニタリングとコントロール NECソフト株式会社
       (3)ISACAホームページ