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PM雑記帳

■PMアラカルト_No.4
  PMBOK スコープ・マネジメント考

2005.11.02

PMBOKガイド第3版のプロジェクト・スコープ・マネジメント(Project Scope Management)知識エリアにおいて、新たに「WBS作成プロセス」が設けられましたが、 今回はこの背景とWBSについて見ていきます。

プロジェクト・スコープ・マネジメントには5つのプロセスがあり、それらは計画、 及び監視コントロールという2つのプロセス群に配置されています。(PMアラカルトNo.2添付1の図を参照ください。)

PMBOKガイド第3版では、2000年版における「スコープ計画」と「スコープ定義」 の2つのプロセスが整理・強化されて、「スコープ計画」、「スコープ定義」及び 「WBS作成」の3つのプロセスに再構成されています。
各プロセスのアウトプットの主なものを整理してみると下表のようになります。


PMBOK スコープ・マネジメント考

このように第3版では、
  ・スコープ計画プロセス →「スコープ・マネジメント計画書」の作成
  ・スコープ定義プロセス →「スコープ記述書」の作成
  ・WBS作成プロセス   →「WBS」の作成
となって、プロジェクトマネジメントにおける重要な3種類の成果物を作成するプロセスをそれぞれ専任化しました。
この背景には、精度の高いWBSに基づいて計画・実行・監視コントロールすることこそが、プロジェクトマネジメントの基本要件の一つであることを一層明確にする狙いがあります。

とはいうものの、漏れの無いWBSを作成し、状況に合せてそれを更新して運用することは現実にはかなり労力が要ることです。 ここでWBSについて少し掘り下げておきましょう。




1. WBS(Work Breakdown Structure)とは

WBSの作成はトップダウンで行います。すなわち、プロジェクト目標の達成のために、 定義された要素成果物とそれらを作成する作業を、双方勘案しながら要素分解して階層的に構造化していき 、最下位層であるワーク・パッケージを明らかにします。
このワーク・パッケージが、スケジュール作成、コスト見積り、リソース割付け、チーム編成、 監視とコントロールなどのプロジェクトマネジメント計画立案やその遂行の基本になります。

2. WBS作成の2つのアプローチ

WBSの作成には2つのアプローチがあります。それらは、要素成果物を分解してその下位レベルの 要素成果物を定義していくものと、要素成果物を作成する作業を分解して下位レベルの作業を定義していくものです。
ところで、要素成果物とその作成作業は表裏一体のものです。
例えば、WBSの最上位層に定義されたフェーズを置き、各フェーズを作業に分解していきます。 このとき各フェーズから独立した作業やフェーズをまたがる作業、例えばプロジェクトマネジメントなどは、 個々のフェーズの中に入れずに分けておきます。分ける理由は、要素成果物を作成する作業と プロジェクトマネジメント関連の作業では、作業の性質が異なるからです。
さて、このアプローチではWBSの各要素は「何々を作る作業」になりますが、この「何々」というのが そのレベルにおける要素成果物というわけです。 したがって、WBSの作成では、2つのアプローチを並行して行っていると言えます。

3. ローリング・ウェーブ計画法

プロジェクト・ライフサイクルにおいて、プロジェクト開始時点では、 情報が限られていたり細部まで要件が明確になっていなかったりすることが多く、 ワーク・パッケージ・レベルまで要素成果物や作業を分解することが難しいとされています。 したがって、実際には開始当初はワーク・パッケージよりも上位の妥当なWBS要素レベルまでの分解に留め、 機能仕様や基本設計が漸次明確になるのを待って下位レベルまで分解することになります。 この方法に基づいて計画を詳細化することを、「ローリング・ウェーブ計画法」と呼んでいます。
ローリング・ウェーブ計画法は、PMBOKで挙げられているプロジェクトの3大特性の一つ「段階的詳細化」を 具体的に実現するものです。因みにあとの二つの特性は「有期性」と「独自のプロダクト、サービス、所産」でした。

4. WBSテンプレート

通常、企業・組織は標準的なWBSテンプレートを持っており、個々のプロジェクトでは、 そのプロジェクトに合せてWBSテンプレートをテーラリングしてWBSを作成しています。 これによりWBS作成作業を効率化し、かつ要素分解の漏れを減らすことができます。
また、プロジェクト完了時には、作成したWBSを、タイム、コスト、人的資源、 リスクなどの実績情報と共にナレッジベース化し、かつWBSテンプレートを改良して精度を上げて、 将来のプロジェクトに供する工夫をしています。このような活動は通常PMOなどのスタッフ部門が ライン部門と連携して行い、自社・組織のプロジェクトマネジメント力の向上に努めています。


参考文献: (1)PMBOK(R) ガイド第3版 PMI
        (2)PMBOK(R) Guide Third Edition PMI
  ※PMBOKはProject Management Instituteの米国及びその他の国における登録商標です。