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PM雑記帳

■PMBOK ドリルダウン!_No.32
  PM定量化の実践技術 (12)

2005.09.14

 前回は、第1回目として、「マイルストーンの完了」をどうコントロールする必要があるかについて考えてみました。
  今日は、スコープの安定性をどう計測し、コントロールするかについて考えてみましょう。PMBOKの知識エリアとしては、スコープマネジメントに対応します。

 皆さんは、増えつづけるスコープ(機能的規模)の拡大に悩まされることはありませんか?その場合、どのような管理をしていますか?
  ここで言う「機能的規模」は、プロジェクトが提供しようとしている機能量を表します。一般的には、要件定義の数、変更要求の数、またはファンクションポイント(以降FP)で表されます。機能的規模は、物理的規模(開発または保守すべき成果物の量)の主要な決定要因です。本日の事例では、機能的規模をFPで扱います。
  機能的規模の増加に伴い、物理的規模も増加し、リソースとコスト増加、スケジュール遅延になることが予想されます。
  プロジェクト管理者としては、要求に対する変更量をFPとして計測し、スケジュールとコストへの影響を予測する必要があります。この情報ニーズに対しては、当初の要求に対する追加FP、変更FP、削除FPの合計(月間変動FP)と累積全FPとの比率を評価すれば、コントロールできます。その場合の基準を以下の通り設定します。
1.判断基準
(1) 要求の増加量が10%を超える
(2) あるいは月の変動要求量がベースラインより10%以上である場合、調査を要する
2.計測手順
(1) 最初のベースラインとしての機能的規模(FP)を計測します。
(2) 次に、承認済みの変更要求に対して、
・ 追加した要求FPを加えます
・ 変更した要求FPを加えます
・ 削除した要求FPを加えます
(3) 次に、追加FP、変更FP、削除FPを月別に算出し、最初のベースラインに加えて、累積全FPを求めます。以降、毎月加算FP分を累積全FPに加えます。
(4) また、月間変動FPを累積全FPで割ることで、月間変動割合を求めます。その変動割合が10%を超えるかどうか常に監視します。要求の安定性を計算し、問題点を明らかにするために、10%増加のところに判断基準の閾値を設けます。
以下は、基本測定量である追加FP、変更FP、削除FPを基に、月間変動FP、累積全FP、月間変動割合を算出した事例です。初期ベースラインは、1000FPです。



この例では、2回のレビュー後、毎月平均5%以上の変動があり要求が安定していなかったことがわかります。プロジェクトがすでに設計フェーズであるとすると、要求変更のタイミングが問題であったと考えられます。

 それではここで質問です。
上記の傾向分析より、第1回目のレビュー完了後(2005年4月頃)、要求が不安定であることが顕在化してしまいました。
PMのあなたとしては、今後どのような分析指針を部下に提示しますか?
それでは、以下にその指針を例示してみましょう。
1. 要求の追加や変更は、コスト増加とスケジュール遅延の先行指標となります。まず、要求の追加や変更に対しては、その種類と理由を追加分析します。
2. 変更の分析より、コスト、スケジュールへの影響を調査します。
要求の変更は、影響範囲(システムインタフェース、ユーザインタフェース、性能、主要機能など)によって、または原因(漏れ、不明確さ、不完全さ、不正確さなど)によって分類できます。
  変更に関する多くの知識をもっていれば、プロジェクト管理者がそれらの変更によるコストとスケジュールへの影響を評価する助けとなります。

 実行上以下の点に留意する必要があります。
  まず、要求のベースラインに基づいて見積もりや計画を作成するので、要求がベースライン化されたらすぐに、要求の増加や安定性についてプロジェクト期間をとおして追跡する必要があります。集計と報告は毎月行います。要求管理ツール/データベース、変更管理システムなどで自動化しておけば、これからの測定値を得るのに非常に役に立ちます。
 
  本日はここまでにします。次回も更にPM定量化の実践技術をご紹介します。ご期待ください。お疲れ様でした。

参考資料:「実践的ソフトウェア測定、共立出版」