HOME > PMウェブ・サービス > PM課外授業 > PMBOK ドリルダウン-PM定量化の実践技術(6)、リスクマネジメント(22)
PM雑記帳

■PMBOK ドリルダウン!_No.22
  PM定量化の実践技術(6)

2005.04.06

前回は、ファンクションポイントを、PMの進捗管理でどう活用できるか、進捗管理の仕組み構築事例について筆者の実践経験を基に話しをしました。
今回は、CMMIという改善モデルを活用して、定量化の成熟をどう捉えているか調べてみましょう。
では教室の戸を開けましょう。


【CMMIとは何か】
 CMMI(Capability Maturity Model Integration)は、米国カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University :CMU)のソフトウェア工学研究所(Software Engineering Institute :SEI)が提唱している改善モデルです。
  CMMIはCMMの後続モデルです。これまでに登場した各種CMMのモデルを統合したものです。一般にCMMと言ったときには、暗黙のうちにSW-CMM(CMM for Software)を指すことが多く、そのほかにSE-CMM、IPD−CMM、SA-CMM、P-CMMなどが存在します。
  以下、連続表現ではなく、段階表現におけるプロセスエリアを眺めていきます。


【CMMI レベル2における定量化の要求事項】
 レベル2では、組織はとにかくジョブを完了させることに集中しています。また、ソフトウェアプロジェクト管理システムは実施されていますが、組織標準プロセスまでは要求されていません。
  レベル2では、以下のプロセスエリアが定量化に大きく係わり合いがあります。
  1. プロジェクト計画策定(PP)
      このプロセスエリアでは、最上位のWBSの確立(スコープマネジメント)と規模見積りを要求しています。規模見積りの手段は、LOC法でも、FP法でもかまいません。プロジェクトとして見積りの論理的根拠に基づき、作業成果物およびタスクに対してプロジェクトの工数および費用を見積もることが重要であると捕らえています。
  2. プロジェクトの監視と制御(PMC)
      このプロセスエリアでは、プロジェクトの実績および進捗が、プロジェクト計画に照らして監視されていることを要求しています。ここで、チェック対象の実績とは、
    • 規模、コスト、工数
    • スケジュール
    • コミットメント
    • リスク
    • データ管理
    • 利害関係者の関与
    を指します。
  3. 測定と分析(MA)
      このプロセスエリアは、SW-CMMにはありませんでした。管理者の情報ニーズに応えるために使用される測定能力を開発し維持することを要求しています。
      また、測定目標、尺度、収集・格納手順を明確化し、収集活動、分析活動を行い、活動結果を報告し、組織の測定リポジトリにデータが格納されることを目標にしています。 但し、この段階では、組織の測定リポジトリは、プロジェクト単位でもかまいません。

【CMMI レベル3における定量化の要求事項】
     レベル3では、組織は標準プロセスの集合を持ち、それらは個々のプロジェクトによりそのニーズに合わせてテーラリングされる環境構築が求められます。
      レベル3では、以下のプロセスエリアが定量化に大きく係わり合いがあります。
    1. 組織プロセス定義(OPD)
      • このプロセスエリアでは、利用できる組織プロセス資産の集合を確立し、維持することを要求しています。
      • また、組織リポジトリを確立し維持することも要求しています。
    2. 検証(VER)
      • このプロセスエリアでは、ピアレビューの実施結果として、データを分析し、組織リポジトリに格納されることを要求しています。


【CMMI レベル4における定量化の要求事項】
 レベル4では、レベル2、レベル3で定量的な管理に必要な基盤を構築したことを前提としています。つまり、組織横断的に意味のあるデータを蓄積するための共通の尺度は既に存在するということです。
  そして、組織レベルとプロジェクトレベルで、統計的な方法およびその他の定量的な方法が使用されることを要求しています。この段階では、プロセスの振る舞いは予測可能で、定量的に理解されています。


【CMMI レベル5における定量化の要求事項】
  レベル5では、データは、技術やプロセスの改善領域選択や改善計画策定、および組織プロセス能力の改善効果の評価のために用いられることとしています。


【まとめ:CMMIは定量化の成熟をどう捉えているか】

レベル2 まず、個々のプロジェクトで別々でもかまわないから、定義し、収集し、蓄積すること。主にQCDに関連するものが対象となります。
レベル3 組織の共通尺度の集合を持ち、プロジェクトのデータは組織の測定リポジトリに蓄積すること。
レベル4 組織的に収集されたデータは組織の標準プロセス実績ベースラインの確立、プロセス実績モデル確立のために使用され、プロジェクトは定量的に管理される。
レベル5 データは、技術やプロセスの改善領域選択や改善計画策定、および組織プロセス能力の改善効果の評価のために用いられる。

定量化を実現するために、まず、現在の組織成熟度レベルを認識し、そして上位の完成したイメージを描き、中期計画を策定してみてはいかがでしょうか。

本日はここまでにします。お疲れ様でした


参考資料一覧: SEI CMMI V1.1




   リスクマネジメント (22)


 前回は「ミス」と「リスク」の違いについて説明してみました。
今回も少し寄り道をして、CMMIという改善モデルを活用して、リスクマネジメントの成熟をどう捉えているか調べてみましょう。
では教室の戸を開けましょう。


【CMMI レベル2におけるリスクマネジメントの要求事項】
  リスクについては、以下のプロセスエリアで出現します。
  1. プロジェクト計画策定(PP)
    ここでは、プロジェクトリスクを特定し分析することが求められます。但し、リスクのパラメータ、尺度、基準の事前作成は要求していません。つまり、明確な基準は必要としていませんが、まず、計画段階からリスクを列挙することを要求しています。
  2. プロジェクトの監視と制御(PMC)
    ここでは、プロジェクト計画で特定されたリスクに照らしてリスクを監視することを要求しています。


【CMMI レベル3におけるリスクマネジメントの要求事項】
  このレベルでは、リスク管理(RSKM)が該当します。
  1. リスク管理(RSKM)
    レベル2と比較して、明確なリスクパラメータの基でリスク管理を制御し、優先付けを行い、リスク軽減活動、履行までの一連の活動を要求しています。PMBOKのリスクマネジメントと大差はないと思います。

【まとめ:CMMIはリスクマネジメントの成熟をどう捉えているか】
 
レベル2 まず、明確なリスクマネジメントの尺度・基準は必須ではないから、計画段階からリスクを抽出し、定期的に監視することが重要である。
レベル3 組織のリスクマネジメントに関わる共通尺度・基準の集合を持ち、潜在的な問題が顕在化する前にその問題を特定することを組織的な活動として行うことが重要である。
  さて、皆さんの所属する組織はどこのレベルでしょうか?
  言い忘れましたが、レベル-1、レベル0の裏定義があるというウワサを聞いたことがあります。真実かどうかはわかりません。
  レベル0:  やる気が無い組織
  レベルー1:お互いに足を引っ張る組織

本日はここまでにします。お疲れ様でした。


参考資料一覧:SEI CMMI V1.1