■PMBOK ドリルダウン!_No.20
PM定量化の実践技術(4)
2005.03.09
前回は、定量化のベースとなる規模の計測の尺度(ファンクションポイント)について説明しました。
今回は、そのファンクションポイントを、PMの活動でどう活用するのか、筆者の実践経験を基に話しを進めていきます。
では教室の戸を開けましょう。
【FPの位置付け再確認】
まず、前回話を進めてきたFP(規模の計測)が、見積り作業の中でどのような位置付けにあるのか再確認しておきましょう。まず、下の図を見てください。
ソフトウェア開発における見積りは、開発ソフトウェアに関する要求仕様書の内容と、開発方法や環境などの条件を元に実施されるのが望ましいのです。そこで、見積りの対象と実施順序を考えると、上図のようになります。上図で見るように、最初に実施する「ソフトウェア規模」の見積り(FP計測)が重要なポイントになります。過去にはソフトウェア規模の見積りをせずに、直接工数を見積もることもあったが、ソフトウェア規模が設定されない限り、開発に必要とする工数・期間・コストの合理的な見積りはできません。更に、生産性も求めることはできないのです。逆にソフトウェア規模を合理的に測定することができれば、将来の開発における妥当な見積りや内容の信頼性向上に役立つと言えます。つまり、合理的なソフトウェア規模と過去の開発実績に基づく生産性により標準的な開発工数を求め、開発設備・開発経験・要員・作業範囲などの開発範囲などの開発条件、基盤ソフトウェアの信頼性などの環境条件を考慮して、最終的に適切な工数・期間・コストを見積もることができるようになります。
まず、最初に品質目標値の設定時にFPを活用した事例をご照会します。
【品質目標の設定事例】
品質目標として、性能、信頼性、利用性、保守性を対象として、それぞれの達成目標を記述します。多くの目標項目が考えられますが、プロジェクトで意味のないものは対象から外す必要があります。
筆者が過去実践した中から、品質目標値を設定する上で、有効であった品質メトリクスをご照会します。
(1)エラー検出密度(件/FP):1FP当りのエラー(バグ)検出密度
(2)テスト密度(件/FP):1FP当り何件試験項目を設定するかを表す
(3)バグ検出密度(件/FP):1FP当り何件バグが検出されるかを目標としているかを表す
(4)バグ検出率(バグ件数/テスト項目数*100):バグ1件がテスト項目何件につき、何%の割合で発生しているかを表している
また、下図で、実際に活用した事例を添付します。
また、その目標値をコントロールするために構築した仕組みの一部を下図に添付します。
ここで、重要なことは、ソフトウェアを出荷する前にその品質レベルを推定しなければならないということです。推定値の予測はかなりの確度をもっていなければ、目標も施策も意味をなしません。また、品質の実績を把握することも重要です。 品質の実績値は、運用開始から少なくとも1年以上の期間に渡ってユーザからの欠陥情報を収集分析することによって可能になります。その結果は次の開発へフィードバックされなければなりません。
品質レベルが推定できると以下のようなことが実現可能となります。
皆さんの企業では、品質目標値を設定して、適切にコントロールされているでしょうか?現在、私が参画するプロジェクトでは、まだまだ実現されているとは言い難いのが実態でしょうか。
次回は、別なテーマにおける、FPの活用についてご照会したいと思います。
リスクマネジメント (20)
前回は、定性的リスク分析の具体的な作業の進め方、リスクマトリクスについて説明しました。今日は、リスクマトリクスの活用方法について説明します。
【リスクマトリクスの活用】
前回、リスクスコアは、以下のとおり、発生確率と影響度を基に算出することを説明しました。
リスクスコア=発生確率×影響度
その発生確率と影響度を基に、予めリスクマトリクスを作っておき、ランクをつけておく必要があります。ランクをつけると、優先順位が付け易いメリットがあります。
予め数字を入れると、スコアが決まることになります。下図の例でお分かりの通り、
優先順位の高さを視覚的に表現することが可能となります。
どこが「まずいか」を皆で議論することが可能になります。
それでは、発生確率、影響度の掛け算の値が同一の場合、どちらを優先して対策をする必要があるのでしょうか?
実際の対策の検討に際しては、発生確率、影響度(被害規模)の個々の値によって優先順位は異なることになります。
一般的には、発生確率と影響度の大きさの積が同じ場合は、経営の立場では、影響度の大きなリスク(右下)の方が、より重要であると判断される場合が多いと思われます。
また、現場の視点では、発生確率の大きなリスク(左上の方)が注目される場合が多いのではないでしょうか。
本日はここまでにします。お疲れ様でした。