■PMBOK ドリルダウン!_No.16
プロジェクトマネジメント力評価 (12)
2005.01.12
前回は、PMコンピテンシーモデルの構築単位について説明しました。
それでは、今日は、構築単位について他の事例をご紹介し、もう少し説明しましょう。
また、ITSSの枠組みを活用したPMコンピテンシーモデルの構築方法について説明しましょう。
プロジェクトマネジメント評価は、本日で最終となります。
では教室の戸を開けましょう。
【01】PMコンピテンシーモデルの構築方法(その3)
5.コンピテンシーモデルの構築単位(2)
ここでは、現行の階層にとらわれず、ミッションの方向性や活動の焦点の違いによってSE職の特徴的な側面が現れる5つの役割分類毎にコンピテンシーモデルとその役割について、ご紹介します。
(1) リーダー型PMモデル
・トップマネジメントが示した方向性のもと、各組識のリーダーが仕事の戦略を立てる。
・部下に対しては具体的な指示ではなく、戦略を示すことにより一人一人にミッションを与えていく。
(2)顧客創造型PMモデル
・市場の求める納期を知る
・市場で獲得可能な利益を予測する
・与えられた時間、利益に見合うコストを根拠とした品質の設定
・顧客からの信頼の獲得
(3)安定運用型PMモデル
・効率化・高品質・安定性により評価され、専門家として事務を推進していく
(4)変革型PMモデル
・組織的リーダーシップを発揮する
・新しい成果へチャレンジする
・戦略・戦術立案推進する
・新コンセプトを創出する
(5)技術イノベーション型PMモデル
・常に新しい技術を追求し、供給する

6.ITSSの枠組みを活用したPMコンピテンシーモデルの構築方法について
ここでは、専門分野:「システム開発/アプリケーション開発/システムインテグレーション」に焦点を当てて、当社が提案するPMコンピテンシーモデルをご紹介します。
まず、知識・技術力は、ITSSが提示している、「専門分野固有スキル項目」「職種共通スキル項目」を活用します。
次に、どのような行動特性が要求されるのか考えてみてください。
「システム開発/アプリケーション開発/システムインテグレーション」には、専門家がチームで行う設計・開発作業を、効率化もさることながら、付加価値重視でまとめあげるスキルが要求されます。また、その時に要求される行動は、統合「まとめあげる/最適化する/指導力を発揮する/リスクを担う」ではないでしょうか。
そこで、その行動特性を実現するのに、PMに必要となるコンピテンシーは以下の通りです。
・対人感受性: 社内外の顧客の視点に立って顧客満足を追及する。
・リソース統合による成果最大化: 成果を最大化するような仕組みを、資源を統合することで描く。
・戦略・戦術立案推進: 目標を達成するための戦略・プロセスを立案し、展開する。
・プロフェッショナルとしての自己形成: 自己の経験やキャリアを主体的に築き上げ、環境に合わせて活かす。
・組織的リーダーシップの発揮: 多様な立場や背景を持つ人々をまとめあげ、一つの方向に向かせる。
・新しい成果へのチャレンジ: 新しい領域において、ヴィジョン・成果目標やゴールイメージを設定する。
・徹底情報収集: 新しい情報に対する強い関心を維持し、徹底的に情報収集する。

さて、プロジェクトマネジメント評価も12回と連載してきました。これまでの説明で、一番読者にお伝えしたかったことは、以下の通りです。 組織としての利益を最大化するマネジメント手法を確立する一方で、プロジェクト・マネジャー個人の能力も高める必要があります。この2つを両立できれば、プロジェクトが成功する可能性は高まると考えられます。そして、「PM組織成熟度モデル」と「PMコンピテンシーモデル」は、車の両輪と考えられます。
米国PMIでは、以下の2つのモデルを発表しました。
「PM組織成熟度モデル」として、OPM3(組織的プロジェクトマネジメント成熟度モデル)
「PMコンピテンシーモデル」としてPMCDフレームワーク(プロジェクト・マネジャー・コンピテンシー・ディベロップメント)
今後、圧倒的な影響力を持つ、PMIが基準を策定したことで、成熟度やコンピテンシーモデルの普及はこれから早まるのは確実と思われます。
次回からは、テーマを変えましょう。「PM定量化の実践技術」について連載を開始します。ご期待ください。
リスクマネジメント (16)
本日は、前回(リスクマネジメント(15))に引き続いて、リスク情報整理の手法についてもう少し詳しく説明をします。
では教室の戸を開けましょう。
【01】リスク情報整理の手法について
リスクマネジメント(14)で、リスク情報整理の手法として、「KJ法」「SWOT」「チェックリスト」の説明をしました。
本日は、MECE(ミッシー)というとても大切な手法について説明します。
MECEとは、Mutually Exclusive Collectively Exhaustiveの略です。
日本語に直訳すると、「それぞれが重複することなく、全体集合としてはモレがない」という意味です。経営コンサルタントの間でよく活用され、ミッシーと呼ばれています。MECEという概念は、全体として「モレなしかつダブリなし」というきわめて単純な集合に関する概念ですが、リスク情報整理の手段として非常に重要な考え方です。
ここで、モレ、ダブリの困った問題について考えてみましょう。
下の図をご覧ください。

これらはきわめて単純な例ですが、プロジェクトのリスクはこのように、モレがあると的外れになったり、ダブりがあると非効率になるようなケースがゴマンとあります。切り口のレベルが異なると、同じようなことを言っているようで意見がまったくかみ合わないが、それがなぜなのか当人たちも、聞いている人たちにもわからない。よく整理してみると、モノとダブリのせいで、肝心な話に触れずに、些末な論点で話し合いがずれたまま長引き、無駄に時間を使ってしまったというようなことがあります。
「モレなしかつダブリなし」という集合の単純な考え方である「MECE」が、なぜそれほど重要なのでしょうか。それは、企業のトップであろうと、現場のPMであろうと、立場に関係なく、それぞれの目標を達成するために必要なヒト・モノ・カネの経営資源や時間に制限があるからです。経営資源に制限があるかぎり、大きなモレや大きなダブリはビジネスの効果・効率を著しく阻害するということです。
それでは、MECEをリスク識別の整理で使いこなすには、どうすれば良いのでしょうか。
経営資源に制限がある限り、大きなモレやダブリは、業務の効率・効果を著しく阻害します。
MECEを活用するには、以下の3つのポイントがあります。
1. モレによって的を外していないか?
2. ダブリによって効率を阻害していないか?
3. MECEでとらえ、最後に優先順位をつけているか?
参考:「問題解決プロフェッショナル」、ダイヤモンド社、齋藤嘉則