■PM Tools A to Z_No.27
アーンド・バリュー・マネジメント(5)
2005.06.29
アーンド・バリュー分析について、前回はSPI(スケジュール効率指数)とCPI(コスト効率指数)を利用した現状把握の例を紹介しました。今回はプロジェクトの完成時の予測について、その方法を紹介します。
完成時の予測は、当シリーズNo.7で示したように、プロジェクト進行中のある計測時点において、「今後発生するコスト予測(ETC)」と「完成時総コスト予測(EAC)」という2種類の
コストを予測する形で見てきました。
今回新たに、プロジェクト進行中のある計測時点において、プロジェクトの
期間を予測し、当初の予定期間との差異を求める方法を紹介します。この方法を加えて、例えば納期遅れが予測される場合に、その遅れの度合いとコスト差異の度合いから現時点における危険度を判定してアクションに結び付けるようなプロセスを組み立てることができます。
この、プロジェクト期間の予測のために、TEACという指標を追加します。
・TEAC(Time Estimate at Completion:完成期間予測)
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計算式: TEAC=プロジェクト予定期間/SPI |
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プロジェクト進行中の計測時点における、開始から完了までの期間見積り。
なお、分子の「プロジェクト予定期間」をSAC(Schedule at Completion)と略す場合があります。 |
このTEACの推移によって、プロジェクトを期間で見たときの進捗の傾向が分かります。
あるプロジェクトの進捗実績(予算2,600万円、工期24週間)の例に基づいて実際に分析してみましょう。
<表1:進捗実績>
TEACによる分析の前に、まず、コストベースの予測をしておきましょう。
ここでは、EAC(完成時総コスト予測)の動きに注目します。
<図1:EACの推移>
プロジェクト経過9週目で、EACが、計画されていたプロジェクト予算2,600万円を上回り始め、以後それが増加の傾向にあることが分かります。12週目では予算を17%余り上回る予測となっています。
プロジェクトが半分経過した時点での17%の予算超過予測というのは深刻です。
では、このプロジェクトの完了期間(工期)の予測はどのように変化しているでしょうか?この予測のためにTEACを算出し、時系列にプロットします。
<図2:TEACの推移>
8週目までは予定期間を前倒しする形で進捗していましたが、9週目から急に予定期間より遅れるという予測が出始め、しかも徐々にそれが増しています。図1でEACも9週目から予算を上回り始めたことが見て取れましたが、9週目にいったい何が起ったのでしょう?
それを突き止め、今後の影響を見極めて早急に対策を講じる必要があります。
このように、コストとスケジュールの観点から、このプロジェクトは予定期間の半ばに差し掛かって相当深刻な状態だということが分かります。
しかし、もしアーンド・バリュー・マネジメントが導入されていなくて、計画コスト(PV)と実績コスト(AC)(または現実的には計画工数と実績工数)だけでプロジェクトの進捗を見ているとしたら、深刻な事態ということにこの時点で気づくでしょうか?
12週目においてPVが1,200万円、ACが1,280万円で、その差は僅か(?) 80万円(6.7%増)、工期が延びるかどうかはよく分からない(科学的に算定できない)状況で。
| 参考文献: |
- アーンド・バリューによるプロジェクトマネジメント 第2版
Quentin W. Fleming & Joel M. Koppelman, PMI(東京支部監修)
日本能率協会マネジメントセンター
- 改訂版 解説:アーンド・バリュー・マネジメント 富永章著 PM学会
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