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PM雑記帳

■PM Tools A to Z_No.22
  プロジェクト・ステークホルダー

2005.04.13

今回はプロジェクト・ステークホルダーのお話しです。

最近、行政や企業活動の議論などでステークホルダー(Stakeholder)という用語をよく耳にします。この場合のステークホルダーとは、「行政や企業等の意思決定によって、自らの大切なものに影響を受ける個人、法人、団体」ということで使われています。例えば、企業でいえば、投資家、株主、経営者、役員、従業員、労働組合、パートナー、取引先、消費者などを指します。このようなステークホルダー間では、それぞれの利害調整が課題となることも多くありますが、ステークホルダーがときに「利害関係者」と訳される所以でしょう。

プロジェクトにおいても、そのステークホルダーを明確にして適切にマネジメントを行うことが、プロジェクトを成功に導くひとつのキー・ポイントになっています。

PMBOKでは、プロジェクト・ステークホルダーを、「プロジェクトに積極的に関与しているかプロジェクトの実施あるいは完了の結果が自らの利益にプラスまたはマイナスの影響を受ける個人や組織」と定義しています。さらに、「プロジェクトマネジメント・チームは、プロジェクトを確実に成功させるために、ステークホルダーを識別し、ステークホルダーの要求と期待を明確にし、可能なかぎり要求事項に関するステークホルダーの影響をマネジメントする必要がある。」としています。

ここで、どんなプロジェクトにも存在する、主要なプロジェクト・ステークホルダーを挙げておきましょう。

・プロジェクト・マネジャー
プロジェクトを適正にマネジメントして成功に導く責任者

・プロジェクトマネジメント・チーム
プロジェクト・チーム・メンバーのうち、プロジェクトマネジメント活動に直接関わっている要員。プロジェクト・マネジャーも含まれます。

・プロジェクト・チーム・メンバー
プロジェクト作業を実行するグループ

・母体組織
プロジェクト作業に最も直接的に関わっている要員が所属する組織体。プロジェクト・マネジャーの上位マネジメントは、通常、母体組織に所属しています。

・プロジェクト・スポンサー
プロジェクトに対して資金・資材等の財政的資源を提供する責任・権限を有する人、組織。プロジェクト・スポンサーは母体組織に在る場合もあります。

・プロジェクトマネジメント・オフィス(PMO)
PMOが母体組織に存在しており、プロジェクトの成果について直接・間接の責任を有する場合は、ステークホルダーと言えます。

・顧客・ユーザー
プロジェクト成果物を取得・使用する人または組織

これら主要ステークホルダーの関係はおおよそ図1のようになります。

図1:ステークホルダーの関係(概念図)



この他にも、パートナー、納入者など、プロジェクトに関わるさまざまな人、組織がステークホルダーとなりえます。チーム・メンバーの家族もそうと言えるかもしれません。

このようにプロジェクトは、プロジェクト・ステークホルダーという当該プロジェクトに参画する個人や組織と関わりを持って進められますが、ステークホルダーそれぞれの位置づけとその重要度は異なります。また、ステークホルダー間で利害を異にする関係も多くあります。例えば、顧客は競争力向上のために成果物の品質水準を上げたい。他方、納入者はコストと納期の関係から、品質水準を必要最小レベルに抑えたい、というように。

プロジェクトマネジメントでは、プロジェクトの全期間を通して適宜プロジェクトに関わるステークホルダーを識別し、それぞれの位置づけや重要性、その期待やニーズを明確にしなけばなりません。そして、それら相拮抗する期待やニーズのバランスを取りながらマネジメントすることが必要不可欠です。したがって、ステークホルダー・マネジメントは時に困難さを伴いますが、プロジェクト・マネジャーに課せられた責務として、プロジェクトマネジメントの重要な要素ということになります。

さて、PMBOK第3版(2004年発行)では、新たに「ステークホルダー・マネジメント」プロセスが創設されました。当プロセスでは、「積極的なステークホルダー・マネジメントの遂行が、ステークホルダーとの未解決課題を原因としたプロジェクト失敗の可能性を減少させ、各人の相乗効果のある働きを促進し、プロジェクトの破綻を抑えることができる」とし、ステークホルダーに対する積極的なマネジメントの必要性が謳われています。 また、一般にステークホルダー・マネジメントの責任はプロジェクト・マネジャーが有することも明示されています。
一方、PMBOK2000年版では、「プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント」知識エリア内の「コミュニケーション計画」プロセスで、ツールと技法として「ステークホルダー分析」が定義されており、「ステークホルダーの情報ニーズを分析し、そのニーズとそれを満たす情報源について系統的で論理的な見方をまとめる」と説明されています。
両版を比べるとPMBOK第3版では、ステークホルダーへのアプローチがより重要視されてきていると言えます。



参考文献:
  1. PMBOK(R) ガイド2000年版 PMI
  2. PMBOK(R) ガイド第3版 PMI

※PMBOKはProject Management Instituteの米国及びその他の国における登録商標です。