■PM Tools A to Z_No.21
プロジェクト選定手法
2005.03.30
前回述べたように、様々な誘因から新たなシステムや製品・サービスの創出が企画され、その実現のためのプロジェクトの立ち上げが検討されます。対象となったプロジェクトを実際に行うのかどうか、複数の代替案があるのであれば、それらのいずれを行うのが良いか、様々な観点から分析されます。
今回は、その中で投資対効果の観点からプロジェクトを選定する手法、特に将来のキャッシュ・フローに着目した次の2つの手法を紹介します。
(1) 正味現在価値(NPV)法
(2) 内部利益率(IRR)法
これらはディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)と呼ばれる手法のカテゴリに入るものです。これらを含めプロジェクト選定のために利用される経営・財務関連の手法や用語は、PMP認定試験にもよく出題されるので、受験者はよくチェックしておく必要があります。
1.正味現在価値(Net Present Value:NPV)法
NPV法とは、今後得られると予測されるキャッシュ(キャッシュ・イン・フロー)の現在価値の累計が、今後流出すると予測されるキャッシュ(キャッシュ・アウト・フロー)の現在価値の累計を上回っているかどうかで経済性を判断する手法です。
単位期間(例えば会計年度)におけるキャッシュ・イン・フローの現在価値からキャッシュ・アウト・フローの現在価値を引いた値を
正味現在価値(NPV)と呼びます。
ある評価対象期間におけるNPVの累計がプラスであれば投資可と判断したり、また、代替案を比較するような場合では、NPVの最も大きな代替案を採用したりするように利用されます。
ここで、
現在価値(Present Value:PV)とは、将来のキャッシュを現在の価値に直したものです。
計算式は次のとおりです。
例えば、100万円を年利率5%(日本もかつてはこんな時代がありました)で運用する場合、1年後、2年後、3年後の現在価値(PV)は次のように計算されます。
3年後の例をとると、年利率5%の場合、3年後の100万円の現在価値は86.4万円です。言い換えれば、今の86.4万円を年利率5%で3年間運用すると100万円になるというわけです。 このときの利率のことを割引率(discount rate)といいます。
このようにお金は時間の経過に伴いその価値が変化するので、NPV法では将来流入/流出するお金の価値を現在価値に直すことで評価の時間軸を同じにし、投資判断などの分析に役立てます。
例として、今あるプロジェクトの立ち上げを検討するものとし、その開発費が1年目200万円、2年目100万円かかり、それ以後もメンテナンスに年15万円かかると予測されたとします。一方、プロジェクト完了後に得られる収入は、2年目からあって、各年それぞれ50万円、100万円、300万円あると予測されたとします。
このときの4年間にわたるPV、NPV、及び累積NPVを求めると下表のようになります。なお、収入と支出の割引率は共に5%としています。
上表から、このプロジェクトは3年間で見ると累積NPVはマイナスですが、4年間ではそれがプラスになっています。このように、プロジェクトの評価対象期間をどう設定するかによって、投資判断が変化することが考えられます。言い換えれば、プロジェクトによって創出されるシステムや製品などのライフサイクルがどのくらいかを見極めることが重要です。
2.内部利益率(Internal Rate of Return:IRR)法
内部利益率(IRR)とは、ある基準期間において累積NPVがゼロになる割引率のことです。IRRが大きいほど、投資に対する収益性が良いと判断します。
NPV法がまず割引率を決めて現在価値を求めるのに対して、IRR法では現在価値を定めてから割引率を算定します。
IRRは率(パーセント)で表されるので、収益性の比較などに有効ですが、金額規模の違いは比較できません。
例を見てみましょう。
今、AとBという2つのプロジェクト候補があり、それらの支出と収入の推移が以下のとおり予測されるとします。両プロジェクト共、4年間トータルのキャッシュ・フローは10万円です。この場合どちらのプロジェクトを選定した方がいいでしょうか?
この判断のためにIRR法を適用します。
IRRの計算方法は、累積NPVの計算式を組んでそれを0と置き、そこから割引率(r = IRR)を求めます。
内部利益率はプロジェクトAの方が0.9ポイント大きいので、採算性が良い、つまり投資回収効率が良いと判断し、これを選択することになります。
| 参考文献: |
金融用語辞典 フィナンシャル・アーティスト・アカデミーWebサイト
その他幾つかの経営・財務関連Webサイトを参考にさせて頂きました。 |