PM雑記帳

■PM Tools A to Z_No.17
  契約(1)

2005.02.02
PMBOKにおける第12章「プロジェクト調達マネジメント」は、プロジェクト・スコープ達成のためのリソースを母体組織内で手当てできない場合に、それを母体組織の外部から取得するために必要になるプロセスから構成されています。
今回は調達マネジメントに関するツールと技法のうち「契約」関連、特にソフトウェア開発に関する人的資源を企業の外部に求める場合に必要になる契約について整理していきます。

契約合意内容を文書にしたものが契約書であり、契約書は購入者(buyer)と納入者(seller)との間の合意内容を証明するための極めて重要な手段です。
もし契約書と呼ばれる書類の正式な取り交わしがなく、かつ開発約款が記載されていない注文書(*)などに基づき業務を実施した場合には、商法・民法で定められた瑕疵担保責任、損害賠償責任などの責任を納入者が負担することになり、一般的には納入者が不利になります。

  (*) 注文書自体の、または注文書から参照している正式な見積書などの裏面に開発契約約款(見積書裏面約款)が記載されているような場合には、注文書と注文請書の相互発行によって開発契約締結とすることもあります。


ソフトウェア開発契約の種類

代表的な契約形態は以下の通りです。
  1. 請負契約
    「ソフトウェア受託開発契約」、「業務委託契約」などと呼ばれる場合もありますが、民法第632条で規定されている「請負契約」を言います。
    これは受託者(納入者)が請負目的物の完成に対する義務を負います。したがって目的物の瑕疵やその完成遅延に対しては、原則無過失でも受託者が責任を負うことになります。

  2. 準委任契約
    これも「ソフトウェア受託開発契約」などと呼ばれる場合があります。
    民法第643条の「委任契約」にあたりますが、技術指導によるユーザ支援という事務の遂行が目的のため、同656条により「準委任契約」になります。
    なお、「受託」や「委託」という用語は商取引上の用語であり、民法上の用語ではありません。したがって「ソフトウェア受託開発契約」や「システム開発委託契約」などの名称で契約する場合は、その契約が請負契約なのか準委任契約か、契約内容を確認する必要があります。
    準委任契約は、受託者(納入者)が受任したサービスに対する善管注意義務(受託者の業種、業務などに応じて要求される仕事を行わなければならないという義務)のみを負う契約です。したがって受託者は、無過失の場合は瑕疵責任を負いません。

  3. 派遣契約
    「ソフトウェア開発要員派遣契約」などと呼ばれます。 これはソフトウェア技術者を所定の期間、決められた場所に派遣する、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律)に基づく契約です。 納入者は契約で定められた能力を保有する要員を派遣する義務のみを負います。また、派遣された要員の労務管理・監督責任は購入者側にあります。

参考文献: 1.PMBOK(R)ガイド2000年版 PMI
2.民法 第3編「債権」第2章「契約」
3.労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律

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