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PM雑記帳

■PM Tools A to Z_No.7
  アーンド・バリュー・マネジメント(2)

2004.09.08
今回はEVMによって分かることについて説明します。
始めに、EVMの3つの基本値を再度掲げておきます。


EVMの3つの基本値

  • PV(Planned Value)
    計画価値。計画された作業に対する予算化されたコストのことで、進捗判断の基礎
    になります。
  • EV(Earned Value)
    アーンド・バリュー。ある特定の時点で完了している作業に対する計画上の予算化
    されたコストのことで、その時点までに完了した作業の価値を表します。作業が完
    了すると、その作業のEVとPVは一致します。
  • AC(Actual Cost)
    実コスト。ある特定の時点で完了している作業に対して実際に費やされたコストの
    ことで、言い換えれば、EVを得るためにかかった実コストのことです。

EVMによって分かること

3つの基本値から、プロジェクトの現状と完了時の予測についての指標が以下のように算定されます。
  1. 現在の状況把握
    (1)差異分析
      − コスト差異(Cost Variance)
          CV = EV−ACマイナスはコスト超過
      − スケジュール差異(Schedule Variance)
          SV = EV−PVマイナスはスケジュール遅れ
    (2)効率指数
      − コスト効率指数(Cost Performance Index)
          CPI = EV/AC1以下はコスト超過
      − スケジュール効率指数(Schedule Performance Index)
          SPI = EV/PV1以下はスケジュール遅れ

  2. プロジェクト完了時の予測
    − 完了予定予算:   BAC(Budget At Completion)

    − 今後発生するコストの予測:ETC(Estimate To Complete)
       3つのパターンを考えます。
       (1)今までの差異は典型的なもので、今後も同様の差異傾向が続くと判断した場合
        ⇒ 実績係数で修正した残予算をETCとする。
         ・実績係数としてCPIを使用する場合:
           ETC =(BAC−EV)/CPI
         ・実績係数として(CPI×SPI)を使用する場合(より慎重な見積り):
           ETC =(BAC−EV)/(CPI×SPI)
       (2)今までの差異は特別なもので今後は生じず、今後は当初の見積前提条件
         が適用できると判断した場合 ⇒ 残予算をそのままETCとする。
           ETC = BAC−EV
       (3)当初の見積り前提条件はもはや適用できないと判断した場合
        ⇒ 新たに残予算を見積りし直し、それをETCとする。
           ETC = 新ETC

    − 完了時総コスト予測:EAC(Estimate At Completion)
           EAC = AC + ETC
    − 完了時コスト差異: VAC(Variance At Completion)
           VAC = BAC−EAC
これらの指標の関係を図示すると図1のようになります。

<図1>

EVMの計算例

では、実際に例を挙げて計算してみましょう。
  • 計画:
    完了予定予算     BAC = 1000万円
    予定工期        5ヶ月

  • ある時点の測定値:
    測定時の計画価値(予算)   PV = 300万円
    アーンド・バリュー        EV = 240万円
    実コスト              AC = 400万円

  • 現状把握:
    コスト差異 CV = EV−AC = 240−400 = −160万円
    (160万円のコスト超過)
    スケジュール差異 SV = EV−PV = 240−300 = −60万円
    (60万円分のスケジュール遅延)
    コスト効率指数 CPI = EV/AC = 240/400 = 0.6
    (予定より40%コスト超過)
    *予算消費実績(400万円)に対して60%の価値しか生み出していない。
    スケジュール効率指数 SPI = EV/PV = 240/300 = 0.8
    (予定より20%スケジュール遅延)
    *スケジュールは予定に対して 80% しか進んでいない。

  • 完了時予測:
    今後発生するコスト予測 ETC =(BAC−EV)/CPI =(1000−240)/0.6
    ≒ 1267万円(但し今後も同様の傾向が続くと仮定)
    完了時総コスト予測 EAC = AC + ETC = 400 + 1267 = 1667万円
    (667万円のコスト超過)
    予測工期 予定工期/SPI = 5/0.8 = 6.25ヶ月
    (1.25ヶ月の工期超過)
  計算結果を図示すると図2のようになります。


<図2>


以上でEVMにおける各種指標の意味とその算出方法の説明は終ります。

次回はサンプル・プロジェクトを用いてEVMの有効性を分かり易く説明する予定です。


参考資料
  1. 改訂PMBOKによるITプロジェクトマネジメント実践法 佐藤義男 著
    ソフト・リサーチ・センター
  2. アーンド・バリューによるプロジェクトマネジメント 第2版
      Quentin W. Fleming & Joel M. Koppelman, PMI(東京支部監修)
      日本能率協会マネジメントセンター

※PMBOKはProject Management Instituteの米国及びその他の国における登録商標です。