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PM雑記帳

■PM Tools A to Z_No.3
  スケジュール作成技法(1)

2004.07.14
今日と次回は「スケジュール作成」に向けた一連のプロセスを通して、スケジュール作成技法を見ていきます。
始めに、PMBOKによるスケジュール作成までのプロセスを確認しておきましょう。

スケジュール作成までのプロセス

(1)「スコープ定義」プロセスでWBSを作成する。
(2)「アクティビティ定義」プロセスでWBSの最下層(ワークパッケージ)をさらに要素分解して
  アクティビティを定義する。
(3)「アクティビティ順序設定」プロセスで各アクティビティ間の順序関係を明確にする。
(4)「アクティビティ所要期間見積り」プロセスで各アクティビティの所要期間を見積る。
(5)「スケジュール作成」プロセスでネットワーク図を完成させ、プロジェクト全体のスケジュール
  を作成する。
スケジュール作成には必要資源も当然考慮しますが、 説明の都合上省いています。
なお、承認されたスケジュールはスケジュール・ベースラインと呼ばれます。
<図1>



次に代表的なスケジュール作成技法を2つ掲げます。

スケジュール作成技法

1.プレシデンス・ダイアグラム法(PDM:Precedence Diagramming Method)
  ・作業(以下場合により“アクティビティ”を“作業”と称す)をノードで表現し、ノード間を、
  依存関係を表す矢線(アロー)で結んで作業の順序を表現したネットワーク図
  ・Activity on Node(AON)とも呼ばれます。
  ・作業間には次の4つの依存関係が設定できます。図2も併せて見てください。
    FS(Finish-to-Start) :前の作業が終わると次の作業が始まる。
    SS(Start-to-Start) :前の作業が始まると次の作業も始まる。
    FF(Finish-to-Finish):前の作業が終わると次の作業も終わる。
    SF(Start-to-Finish) :前の作業が始まると次の作業が終わる。
<図2>



2.アロー・ダイアグラム法(ADM:Arrow Diagramming Method)
  ・作業をアローで表現し、作業間の接続表示にノードを用いて作業の順序を表現した
  ネットワーク図
  ・Activity on Arrow(AOA)とも呼ばれます。
  ・作業間の依存関係は、FS(終了−開始)のみが設定できます。
  ・ダミー(順序関係を表すのみの、所要期間がゼロの作業)という便宜的な作業を
  必要とする場合があります。
それでは、これらの技法を図1のアクティビティ・リスト(例)に適用してみましょう。


プレシデンス・ダイアグラム法の適用例

図1のアクティビティ・リスト(例)に基づき、プレシデンス・ダイアグラム法でネットワーク図を作成すると図3左図のようになります。このネットワークについて、所定の方法で日程計算をすると図3右図のようになります。ネットワーク図中の各記号の意味、及び日程計算の方法は次頁で説明します。ぜひ作図と計算をして確認してください。 なお、例では、各作業の依存関係はすべてFS(終了−開始)としています。

<図3>



5つの基本値とクリティカル・パス

・ES(Early Start) :最早開始日(その作業を始めうる最も早い日)
・EF(Early Finish) :最早終了日(最早開始日に作業を始めた時の予定終了日)
・LS(Late Start) :最遅開始日(その作業を遅くとも始めなければならない限界日)
・LF(Late Finish) :最遅終了日(その作業を遅くとも終えなければならない限界日)
・TF(Total Float) :全余裕日数(その作業が持つ総余裕日数。これを使い切ると後に続く経路はクリティカル・パスとなる)
・クリティカル・パス
(Critical Path)
:TF=0 の作業の経路(最長経路すなわち工期)

日程計算の方法

・前進計算
      ES =[先行作業のEFの内、最も遅いEF ]+ 1
      EF = ES + DUR - 1  (DUR:作業期間)

・後退計算
      LF =[後続作業のLSの内、最も早いLS ]- 1
      LS = LF - DUR + 1

  ・全余裕日数の計算
      TF = LS - ES = LF - EF

図3のネットワークについて日程計算をすると次のようになります。

<表1>



日程計算の結果、このネットワーク図で表されているプロジェクトの工期は10日間、クリティカル・パスは作業B、C、Eの連なるパス、ということが分かります。また作業Aには1日、作業Dには2日の全余裕があることも分かります。このことを図3で再確認してください。


アロー・ダイアグラム法の適用例

図1のアクティビティ・リスト(例)に基づき、アロー・ダイアグラム法でネットワーク図を作成すると図4左図のようになります。このネットワークについて、所定の方法で日程計算をすると図4右図のようになります。この計算方法はプレシデンス・ダイアグラム法と同じなので、表1を参照してください。
なお、図3と図4は、技法は違いますが同じネットワークを表現したものです。

<図4>



ダミー

ダミーとは、アロー・ダイアグラム法で作業の順序関係を正しく図示するために導入された、作業の順序関係のみを規定する所要期間ゼロの「みせかけの作業」です。  
例えば、先のアクティビティ・リスト(例)では、作業Cの先行作業はAとB、作業Dの先行作業はBでした。この関係を正しく図示するためには工夫が必要です。ここで「みせかけの作業」dを導入して、もし作業Xの前にdがある場合には、Xはdの一つ前の作業まで遡ってそれと順序関係がある、というルールを設定します。これにより先の例は図4のように正しく図示できます。このdのことをダミーと言います。
なお、プレシデンス・ダイアグラム法ではダミーは必要ありません。

次回は、3点見積法によるスケジュール・リスク分析の方法について説明します。


参考文献:経営実務シリーズ PERT入門 刀根 薫 著 東洋経済新報社
※ PMI、PMBOK、PMPは、Project Management Instituteの米国及びその他の国における登録商標です。