■PM Tools A to Z_No.2
PMBOKツールと技法 概観
2004.06.30
今回は始めにPMBOKで定義されている「ツールと技法」のすべてをリストアップします。
以下の9枚の表はPMBOK2000年版にあるツールと技法を、知識エリアとプロセス単位にまとめたものです。
(各プロセスで使用されるツール/技法をT(青色)で表記)
(PMBOKガイドより)
統合マネジメント:
同じ名称のツール・技法が異なるプロセスに幾つかありますが、それらは内容に違いのある場合があるので注意が必要です。その主なものを見てみましょう。
◆要素分解:
『要素分解』は「スコープ定義」(スコープ・マネジメント)と「アクティビティ定義」(タイム・マネジメント)にありますが、その内容は別物です。PMBOKでは、前者は、プロジェクトのWBS(Work Breakdown Structure)を作成するためにすべての要素成果物(*)をより小さなマネジメントしやすい構成要素に分解すること、また後者は、「スコープ定義」で作られたWBSの最下位の構成要素(ワークパッケージ)をさらにより小さなマネジメントしやすい要素(アクティビティ)に分解すること、と定義されています。
(*)要素成果物(Deliverable):プロジェクトまたはプロジェクトの部分を完了するために生み出さなければならない、測定可能な、有形の、検証可能な成果、結果、または品目(PMBOK2000年版和訳本より)。中間成果物や最終成果物(納品物)などがこれに相当します。
ここで、WBSについてもう少し説明しておきましょう。
私たちがプロジェクトのスコープを決める(WBSを作る)際には、何を作るのか(作るべき要素成果物を決める)と、どんな作業があるのか(その要素成果物を作る作業を決める)の2つの視点を同時に持って行う場合が普通です。この2つの視点は表裏一体のものです。したがって、WBSの各構成要素は、「<○○> を <△△> する」のように、そこで作るべきもの(要素成果物)とそれを作る作業(即ち達成基準)とで表すことが多いのです。
また、WBSの作成(スコープ・マネジメント)とアクティビティの作成(タイム・マネジメント)は、知識エリアが異なっており不連続な活動のように見えます。しかし、例えば小規模プロジェクトなどでは、ワークパッケージのレベルをアクティビティとする場合もあります。ようは、WBSをどのレベルまで分解するかはプロジェクト・マネジャーが決めることです。
◆専門家の判断:
『専門家の判断』を必要とするプロセスは、「立ち上げ」、「スコープ計画」、「アクティビティ所要期間見積り」、「資源計画」、「調達計画」、「引合計画」の6つがあります。いずれのプロセスでも所定の計画策定には有識者の経験や知恵を有用とみなしているわけです。このことはPMBOKによるまでもありません。従来から、見積や計画段階で、有識者の参画や、第三者レビューなどを規定している組織も多いはずです。
◆実績測定:
『実績測定』は「統合変更管理」、「スコープ変更管理」、「スケジュール・コントロール」、「コスト・コントロース」の4つのプロセスにありますが、これらはいずれもコントロール・プロセス群のプロセスです。プロジェクトでは進行中に様々な要因で変更が発生します。計画(あるべき姿)と『実績測定』結果(現状)とに差異が生じた場合、その要因を迅速かつ正しく把握しなければなりません。これが変更管理の基本です。更に、差異の発生はリスク・マネジメントにも結びつきます。したがって、十分練られた計画があって、『実績測定』結果との差異が正確に分析できること、これは変更管理やリスク・マネジメントが機能するための必要条件です。逆に、計画が曖昧(あるべき姿が曖昧)だと、プロジェクトは迷走してしまいます。 なお、上記4つのプロセスでは『追加の計画』が『実績測定』と必ず対で定義されています。これは、『実績測定』のレビュー結果によっては『追加の計画』が必要となる場合があることを示しています。
今回は、PMBOKの「ツールと技法」をすべてリストアップして、その一部についてプロセスとの関連を見てきました。
次回からツールと技法の幾つかについて説明していきます。
最初は、「アクティビティ順序設定プロセス」で定義されているネットワーク図の作成技法を予定しています。
※ PMI、PMBOK、PMPは、Project Management Instituteの米国及びその他の国における登録商標です。